2011年7月30日

書店は復権できるか

米大手の書店Barnes & Noblesが経営不振のため、売却先を探していたが、その一つとしてAppleが浮上しているらしい。実書籍よりも電子書籍の売り上げが上回っている米国で、これで一層電子化への勢いがつくのだろうか。
日本では、電子出版への関心はかなり高まっているのだが、対象がスマホに偏っているような感じだ。確かに対象の数としては最大なのだろうが、文字主体の書籍を読む、ということになると、スマホはやはり小さすぎる。少なくとも、中高年には辛いだろう。

本日の電子化
大崎 梢 配達赤ずきん
 同   晩夏に捧ぐ
 同   サイン会はいかが?

書店と本屋に対する愛に満ちているこれらの本を電子化してしまうのは、ちょっと切ないが。

2011年7月29日

小松左京死去

SF作家の小松左京氏が死去したとのニュース。
「日本沈没」「復活の日」などの名作で知られる、SFの大家。何十年も昔の作品でも、今読み返しても新たな感激があるストーリーテラーだと思う。
自分は特別SF好きではないのだが、小松作品だけは結構読んだと思う。長編もいいが、短編でも味わいのあるものが多かった。今手元にあるのは数冊しかないが、いずれまた本を集めて読み返してみたいものだ。

電子書籍を初めて購入してみた。
DRMフリーの「スペースタウン」が閉鎖告知され、8月いっぱいで購入できなくなるらしいので、急遽登録して時代小説を4冊ほど購入。
最初の1冊は、買って失敗した。宣伝文句(概要)につられて購入したものの、筋立ても人物もうすっぺらくて、読んでいるうちに投げ出したくなった。この作家のものは、もう買わない。
やはり、内容の「一部立ち読み」ができないのは問題だなあ。

電子化は、PCの調子が悪かったので、ちょっと休憩中。

2011年7月20日

ブックリーダー事情

Sony Readerの新機種が出るらしい。欧米では、KindleとNookの一騎打ちの様相になっていて、Readerは一歩遅れているので、巻き返しを図りたいのだろう。しかし、さらに遅れている日本では、新しいReaderは発売されるのだろうか。
Readerにこだわるわけではないが、やはり液晶ではなくてE-inkのようなバックライトがない電子ペーパーがよい。目の疲れ方が全然違う。
富士通がカラーの電子ペーパーを開発したらしいが、実用化されて手の届く値段になるまでには、まだもう少しかかるだろう。まあ、文庫本を主体に読む分にはカラーは必要ないけど。
電子書籍のリーダーには、Amazonも参戦してきたし、パナソニックも乗り込んでくるらしい。選択肢が増えるのはいいことだが、果たして分け合うパイはどのくらいあるのだろうか?
Sharpのガラパゴスは、今月のアップデートでOSがAndroid2.3になり、汎用アンドロイドタブレットに近くなった。ユーザーにとっては機能が増えてよいことかもしれないが、当初のコンセプトはどこに行ってしまったのだろう。結局は、単機能のリーダーとしてはやっていかれない、と見切りをつけて、Android路線を選択したということだろうか。

さて、次に欲しいのは10インチ以上のAndroidタブレットなのだが、秋以降にまた色々と出てきそうなので、しばらくは様子見。

本日の電子化
諸田玲子 お鳥見女房
 同   蛍の行方
 同   鷹姫さま
 同   狐狸の恋
宇江佐真理 雷桜

2011年7月17日

MetilTranについて

残念ながら、今現在では「スキャンした原稿を自動的にリーダーで読みやすく整形加工してくれるソフト」はない。
PDFやjpgでスキャンした結果は、PCで閲覧するなら何とかなるが、画面の小さいリーダーで読む場合には、余白の削除や再配置が必須で、これを全自動で満足のいくような結果にすることは無理そうだ。
余白の削除をするだけだったらPDFDiet、再配置するにはMetilTranを使い、その後にChainLPでリーダーが読める形式に変換というのが現在の自分のワークフロー。
しかし、PDFDietにしろ、MeitilTranにしろ、ちょっと機能的に問題があるところがあって、出力結果が今ひとつという場合が往々にしてある。フリーツールに文句をつけるつもりは毛頭ないが、これらを使う場合にはある程度妥協せざるを得ない。
MetilTranは、文章のスキャン画像を解析して、行・文字ごとに分解し、リーダーにあった文字数で再配置してくれるツールである。結構高機能で、ノンブル(ページ番号)やイラスト、2段組、ルビなども自動判別してくれるのだが、スキャン画像の質などによっては判別が結構狂う。
古い日焼けした本は、上部が茶色く変色していることが多いが、このようなスキャン画像ではノンブルの抽出ができずに本文と一体化して抽出されてしまう。
段組も誤検出が結構ある。であるから、「お任せ」はできなくて、必ず結果を眺めながらページ毎に確認を行う必要がある。
問題なのは、「字割れ」を起こす場合で、これはルビに起因することがほとんどなのだが、これの個別修正ができない。コマンドとしては修正ボタンがあるのだが、まだ正式に実装されていないようで、ボタンが有効なときとそうでないときがあり、有効なときでも結果が満足できるものにならない場合が多い。
これは環境設定のパラメータをいじれば、ある程度解消されるようなので、今度試してみるつもり。

また、「行割れ」も起こるが、これは改行位置を誤検出しているためだろう。改行は手動で入れられるので、注意すれば防げる。
ということで、読みやすい結果を作成するには結構な手間がかかるものだ。

本日の電子化
北原亜以子 やさしい男
同     夢のなか
同     ほたる(以上、慶次郎縁側日記シリーズ)
佐藤雅美  影帳
同     命みょうが(以上、半次捕物控シリーズ)

2011年7月16日

ちょっとお休み

ここのところ、スキャンするだけで「製本」をしていない。
とりあえず読みたい本(読み返したい本)はかなり製本しているので、後は「残しておきたい本」。
スキャンだけしておけば、製本は暇を見つけてやれる。
しかし、最初のころはツールの使い方もよくわからずに製本していたので、今見てみるとアラがかなり目立つ。余白が多すぎたり、行が切れていたり、ちょっと見るに耐えないので、やり直し必至である。
あー、「1回休み」ではなくて、「振り出しに戻る」に近いのかもしれない…

2011年7月12日

文庫本比較あれこれ

変な言い方だが、物理的に一番充実している文庫本は、新潮文庫ではないかと思う。
何せ、今スピナーがついている文庫本は、新潮文庫ぐらいしかない。スピナーとは、「しおりひも」である。
昔の創元推理文庫にもついていたのだが、いつの頃からかなくなってしまった。
「充実」にはもう1つあって、それは本の厚さである。他の出版社と比較すると、新潮文庫は、同じページ数でも厚さが少ない。言い換えれば、他社と同じ厚さの本でもページ数が多い。
下が、同じページ数で比較した本の厚さ。

新潮文庫 376P 13mm  山本周五郎 人情裏長屋
講談社文庫 380P 16mm  佐藤雅美 老博打ち
幻冬舎文庫 378P 17mm  加納朋子 てるてるあした

本の造りでチープさが感じられるのは、やはり後発の出版社だろうか。上で言えば、幻冬舎文庫。カバーを外してみると、よくわかる。
幻冬舎文庫にはまた際立った特徴があって、それはページ幅が他社よりも5mm程度狭いことだ。だから、本棚に押し込むと奥行きが揃わない。
まあ、あくまで物理的なことなので、内容には関係ない。
ちなみに、段組を見てみると、講談社は41文字×17行、幻冬舎は41文字×16行だった。こうしてみると、前日のエントリで書いた河治和香「浮世袋」(小学館文庫)の38文字×16行というのは、少々過疎化のような気がしないでもない。

本日の電子化

北原亜以子 傷 
同    再会
同    おひで
同    峠
同    蜩
*「慶次郎縁側日記」シリーズ

2011年7月11日

文庫本についての続き

Readerの重さについての補足だが、文庫本ではどのくらいのものに相当するだろうか?
計ってみたところ、大体430ページぐらいの文庫本の重さが220gだったので、カバーをつけたReaderと同じくらいと言えそうだ。
もちろんカバーをつけなければもっと軽いのだが、むき出しで持ち歩くのがちょっと心配なのと、カバーをつけておけば普通の本を読んでいるように見えて、周りから見てもあまり違和感がないかな、などと。

さて、Readerの画面の解像度は584×754である。これは、5インチモデルでも6インチモデルでも変わらない。なので、6インチだから情報量が増えるということはなくて、読みやすくなるだけである。
現在の自分の「自炊」は、「裁断」→「スキャン」→「PDFDiet」で余白削除→ChainLPでReader用のlrfファイル作成、というワークフローになっている。この「PDFDietで余白削除」の部分が一番時間を取る部分だが、ここで最大限余白を取り除かないと、5インチモデルでは読むのがつらい。
しかし、昔の文庫本をスキャンしようとして中を見、思わずうなってしまった。
本は、1969年2版の、邱永漢の「奥様はお料理がお好き」。この本の本文は、縦48文字×19行の組版となっている。最近の文庫本はどうかというと、2010年の河治和香「浮世袋」で38文字×16行。情報量は2/3になっている。
もちろん、これで本自体の価値がどうとかと言うつもりはない。大きい文字にはそれなりの利点があり、電子化するには最近の大きい活字の方がありがたいのは言うまでもない。
だが、書棚には昔の文庫本もかなりあり、例外なく文字が小さい。これを今のワークフローで処理すると、多分目をこらさないと読めない書籍になってしまうだろう。
回避方法はいくつかある。
1.パソコンで読む ディスプレイでは目が疲れるので、長時間読むには適していない。
2.6インチ以上のブックリーダーを買う 5インチ買ったばかりなので、当分はお預け。次に欲しいのは、10インチのタブレットだし。
3.MetilTranで再配置 時間はかかるが、今のところのチョイスはこれ。

本日の電子化

佐藤雅美 縮尻鏡三郎(上)
同   縮尻鏡三郎(下)
同   首を斬られにきたの御番所
同   浜町河岸の生き神様

昨日に引き続き、とりあえずスキャンしただけ。

2011年7月10日

Sony Readerと文庫本

Sony Readerの諸元については、Webで調べればすぐ判る。しかし、実際に文庫本と比較したときの大きさとか重さなどについては、あまり書かれていないような気がする。
Readerには5インチと6インチのモデルがある。海外では9.5インチ(?)のモデルも出ているが、日本で入手することはできないようだ。
私が持っているのは5インチモデルだが、公式サイトによるとサイズは最大寸法で104.6mm×145.4mm×9.2mm、重さは155g。これに純正のカバーをつけると、縦横厚さでそれぞれ約+4mm、重量は+80gとなる。
大きさ文庫本と比較した場合は、図のとおりとなる。文庫本よりも縦が約10mm、横が約2mm短い。気をつけなければならないのは、これはReader本体の大きさの比であって、画面はさらに小さくなるということだ。いわゆる「額縁」と操作ボタンの部分を除いた画面の大きさは、76mm×101mm。図の、内側の青い長方形の部分である。では、文庫本における一般的な本文部分の大きさはどのくらいかというと、大体82mm×123mmであった。図の緑色の長方形がそれを示している。
つまり、5インチのReaderでは、文庫本の本文をそのままの大きさでは表示できない。
電子書籍ストアで購入する場合は、ちゃんと読みやすいように整形され、自分で文字の拡大もできるからよいが、「自炊」の場合はMetilTranなどで再配置を行わない限り、本の1ページをそのまま表示する仕様になるので、少々読みづらくなるのは覚悟しなければならない。
このあたりについては、また明日。

今日の電子化書籍は、各500ページという分厚い本なので、4冊。
本日の電子化
アン・マキャフリィ 銀の髪のローワン
同        青い瞳のダミア
同        ダミアの子供たち
同        ライアン家の誇り

2011年7月9日

解体しにくい本

紙質が、とか糊が、という以前に、製本・装丁の問題で解体しにくい本がある。
たとえば、袋とじのようになっているミステリとか(決してエロ本とかではない。というか、最近はそんなエロ本なんてないのかも)。
文庫本でも凝った装丁になっているものがあって、これにはまだ手をつけられずにいる。例を挙げると、泡坂妻夫の「ヨギ・ガンジー」シリーズなどがそうだ。MetilTranなどで再構成してしまうと、面白さが半減してしまうだろう。
また、宮部みゆきの「今夜は眠れない」「夢にも思わない」の2冊は、ページの下部に古川タクのパラパラマンガが印刷されている。これを電子化してしまうと、パラパラは再現できなくなるわけで、ちょっと惜しい気がする。

本棚のスペースを空けるという大命題からすると、文庫本よりも単行本を始末する方が効率がいい。
断裁機も買ったので、そろそろ取り組んでみようと思っている。同じ作者のシリーズものだが、単行本と文庫本とが混じっているものがあるので、こうしたものから試してみるつもり。
しかし、まだ思い切れないのが、例えば「鬼平犯科帖」シリーズなど。ほとんどが初版本で、装丁も気に入っているものだ。だが、「愛書家」ではないため、カバーは色あせ、中身も変色が激しい。早く電子化しておかないと、ますます劣化することは自明なのだが…

本日の電子化
倉知 淳 日曜の夜は出たくない
同    幻獣遁走曲
松井今朝子 吉原手引草
畠中 恵 百万の手
宇江佐真理 室の梅

2011年7月8日

電子出版EXPO

東京ビッグサイトの、「電子出版EXPO」「国際ブックフェア」に行ってきた。
電子書籍ブームはひところの勢いがなくなってきたような気がするが、新聞などの報道によるとじわじわと動きがあるらしい。
電子出版EXPOはかなりの人出だった。平日のせいかもしれないが、来場者のほとんどが出版関係者のようだった。ブースも、出版する側にアピールするもので、購読者が見るべきものがあまりない。
同じ会場内の「ブックフェア」の方は、一般読者向けの展示もあり、書籍の割引販売もあるので、家族連れなども結構めだったが、電子書籍やブックリーダーなどの展示は、私が見たかぎりでは見当たらなかった。
この落差はどう解釈できるのだろう。出版側は、電子化に対するはっきりとした危機感を抱いていて、ソリューションを熱心に探しているけれど、出版そのものに注力しているので、一般ユーザへのアピールは後手に回っているということだろうか。
とりあえず、品数を揃えることが電子書籍普及の第一条件ということで動いているのだろうけど、フォーマットの統一と扱いやすいブックリーダー(機器)を切望。

本日の電子化
泡坂妻夫 亜愛一郎の狼狽
同    亜愛一郎の転倒
同    亜愛一郎の逃亡
宮部みゆき パーフェクト・ブルー
宇江佐真理 玄冶店の女

2011年7月7日

カミのみぞ知る

自分の蔵書数は、約3000冊ぐらいだろうと思う。その内、半数ぐらいが文庫本と新書になる。内容は偏っていて、文庫本のほとんどがミステリと時代小説。いわゆる恋愛小説とかラノベとか、流行のベストセラーなんてのはまず皆無である。

これらの電子化を始めたわけだが、カッターで解体をしていて気がついたことがある。同じ文庫本でも、解体しやすい本とそうでない本があるのだ。
まず、大体において古い本の方が解体しやすい。もう糊も劣化していて、引っ張ると簡単に取れるくらいになっているし、紙も水気(?)が抜けて、パリパリになっているので、裁断も楽だ。もしかすると、古い本と新しい本では、紙の質や糊の材質も違うのかもしれない。
で、出版社によっても紙質が違う。PK-513Lのような断裁機で一気に切ってしまうと気がつかないが、手作業で切っていると手ごたえで判る。
出版社の中でも一番裁断しにくいのは、講談社。紙に弾力がある感じで、カッターを引いてもなかなか切れてくれない。

スキャンのときに苦労したのは文春文庫で、東野圭吾の「予知夢」などは、たかだか270ページぐらいなのに10回以上もジャムと重送を起こした。何か裁断に問題があったのかもしれない。
本日解体した、松井今朝子の「家、家にあらず」は集英社だが、のりしろが他社よりも大きいような気がする。同じように裁断したのだが、端がくっついたままのページが数箇所あって、ジャムを起こした。

本日の電子化
出久根達郎 御書物同心日記
同       続御書物同心日記
同       御書物同心日記<虫姫>
宇江佐真理 神田堀八つ下がり
松井今朝子 家、家にあらず

2011年7月6日

自炊のはじめ

なぜ「自炊」を始めたかというと、前から興味はあったのだが、多分に震災が影響していると思う。
ついこの間の松本の地震でも、「崩れた本に埋もれて男性死亡」という記事が出て、やっぱりかなりまずいんじゃないか、と改めて思う。
自宅の本棚は作りつけなので、倒れてくることはないが、中の本は降ってくるだろうしなあ。

で、始めてみようと思い立って、まずSonyのReaderを買った。持ち歩くのに軽い方がいいので、5インチのもの。これで、青空文庫のテキストを加工して読んでみて、いけそうだと判ってから、スキャナ購入。書籍のメインは文庫本と単行本なので、オーソドックスにPFUのScanSnap1500を選んだ。
書籍の解体用には、とりあえずOlfaのロータリーカッターと100円カッター。
色々情報を調べながら、Metiltran,PDFDiet,ChainLPなどのツールを揃えて作業開始。

今日で約1ヶ月だが、これまで「炊いた」本は75冊。これが多いのか少ないのかはわからない。
1日2.5冊平均だが、処理するのは最高5冊までと決めている。なぜかというと、手がもたないから(笑

カッターで処理するのは、かなり指と手に負担がかかる。5日目ぐらいで、指がしびれ、関節が痛み出した。もともと腱鞘炎になりやすい体質でもある。この日はがんばって8冊処理したのだが、もうこりて、次の日からはペースダウンすることにした。
で、ボーナスが出たのを期に、決心して断裁機を買った。売れ筋の、PLUSのPK-513L。
高価だし、重くて大きいので、今まで購入をためらっていたのだが、使い始めてみて、やはり買ってよかったと思う。今まで解体に5分ぐらいかかっていたのが、20秒ぐらいで済むし、何より手に負担がかからない。
これからが本当の自炊開始になるのかな。

電子書籍に関する思いとか、作業メモとか、ごく適当に書いていくつもり。


本日の電子化

宮部みゆき 火車
西澤保彦 リドル・ロマンス